アジサイ眼科


アジサイ眼科

Ajisai Ophthalmology Clinic

理想と現実

救急で頑張っておられる他のDrのブログを見てました。


初診で来た患者さん、癌が疑われて、入院して検査を勧めたが、症状はもう無いと言って帰ったとの話。


話の仕方がキツかったからと自分を卑下されておられましたが、なんて優しい先生だと僕は感心しました。

しばしば感じますが、医学的に正しいことが、その患者さんにとって正解とは限りません。


国家試験、専門医試験では、文章や画像を見て、診断や治療を答えさせる問題です。
医学的に正しい=正義です。


ただ、そのように説明しても、患者さんが話をちゃんと聞いて、その通りに進んでくれるとは限りません。


僕もいつも悩ましく思います。


・明らかにコンタクトレンズの使用しているから、使用の仕方が悪いから問題が起きているのに、本当に言った通りの期間全く使用中止をしてくれるだろうか?


・点眼を1日4回、1回1滴、良くなったと思っても回数を変えずに使い切ってね!と言った直後に、良くなったら止めて良いですか?とか、2回でも良いですか?なんて言われたり…


でも患者さんの家までついて行ってずーっと観察している訳にもいきませんので、こちらで言ったことを守ってくれるも、守らず悪化するもその人の人生です。


冒頭の癌と思われる患者さんに検査と治療勧告をしても、その後に検査も治療もしないで悪化して急変して助けてと、また救急外来に来る日があるかもしれませんね。


そして手の施しようが無くても、それはそれでその人が望んだ人生なので、医療者は怒るも何もせず、冷静に中立の立場で出来ることはやる、出来ないことは出来ない、と対応するしか無いのかな、と僕は思っています。