アジサイ眼科


アジサイ眼科

Ajisai Ophthalmology Clinic

メタノール視神経症

今日届いた日本の眼科の冊子にメタノール視神経症のページがありました。


メタノール(メチルアルコール)を摂取すると、量によって失明、死亡します。

インドで密造酒の飲んだ人達、100人近くが亡くなったニュースが記憶に新しいです。
まぁこれは、メタノールを混ぜていたのであれば、そりゃそうだろうという話です。


ただ、メタノールを故意に入れてなくても、
ジュースやワイン、ブランデーにメタノールは微量に入っています。

https://www.hro.or.jp/list/industrial/research/food/archive/kenkyu/kenkyu_02/0210.pdf
メタノール含量の低いフルーツブランデーの製造方法


プラムやチェリー、洋梨などの小果樹類の果実は、
ブドウと比較してペクチンの含量が多い。
これらを原料とした醸造製品では、メタノールの含量が多くなる。
これは、ペクチンを修飾しているメトキシ基が、
ペクチンエステラーゼによって加水分解されるためである (図 1)。
ペクチンエステラーゼは、ペクチナーゼとともに果実の過熟成にともなって
生合成される成分である。
果実は、酵母により発酵しエタノールを生成する。
その過程でペクチンエステラーゼが作用してメタノールを生成し、モロミ中に遊離する。



果実や穀物の皮、食物繊維にペクチンは多く含まれるため、
皮ごと発酵された酒にはメタノールが多くなるということです。


http://www.fsc.go.jp/sonota/hazard/tenka_20.pdf
日本では、アルコール飲料中のメタノール濃度は1㎎/ml まで(食品衛生法)
と決まっていますが。


テレビでは赤ワインはポリフェノールが入ってるから良いしか言いませんが、
メタノールも摂取することになります。


失明するには、ワインを30本以上飲む必要があるようですが、
ワインを水代わりに飲む、なんてことは良くありません。
ただでさえ、酒は血糖値も上がりますし、カロリーも多いので太ります。


そこで、眼科的に疑問も出ます。


失明量まで飲まなくても、視神経に影響は無いのかと。


日本人の失明原因の第一位 緑内障は視神経が萎縮していく病気です。
現在、視野の悪化に関係する因子は、眼圧だけです。


微量メタノール摂取が緑内障の視野悪化に関係しないのだろうかと。


既に同じようなことを考えておられた方がいました。
KAKEN — 研究課題をさがす | 緑内障眼における青錐体系機能の電気生理学的研究 (KAKENHI-PROJECT-08771470)
富山医科薬科大学
1996年度
腸内細菌叢によりメタノールが産生されているが
メタノール視神経症では正常眼圧緑内障の眼所見と酷似するため、誤診されやすい。
そのため、われわれは、現在、緑内障と診断されているものの中には、
メタノール視神経症が関与しているものもあるのではないかと考え、
ヒトや犬におけるメタノールの関与について検討した。
その結果、生化学的な見地からは、
ガスクロマトグラフを用いて血清メタノール値を測定し、
95%の症例の血清メタノール値は2〜6μg/mlには含まれるが、
ヒトで緑内障と診断されているもののなかには血清メタノール値が2〜6μg/mlを
大きく超える症例が散見され、それらの症例の尿中メタノール排泄量も
平均値+2SDを大きく超え、その本質についての解明が待たれる。


この後にメタノールと緑内障の話は聞かないので、関係無かったんでしょうか。
今のところは食事、飲酒制限は何とも言えません。