アジサイ眼科


アジサイ眼科

Ajisai Ophthalmology Clinic

オゾンを入れて戻すとか

血液クレンジングとかいって、
100~200mlの静脈血を採取して、
オゾンと反応させて、
体に戻すという医療詐欺が流行っているそうです。


そもそも、血液を採取して、そのまま戻すだけでも危険を伴います。
血液には、血小板と凝固因子があるので、固まります。
固まった血液を血栓と言って、
血管に血栓が飛んで詰まらせると、その先の臓器は死にます。
脳梗塞、肺梗塞、心筋梗塞、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、その他、
命にも関わり、失明にも関わる病気の原因となります。


だから、血液透析では、血液が固まらないような薬を使って、
安全に血液を体に戻しているのです。


皮膚表面には常在菌といって、必ず細菌がいます。
採血時の消毒や手技が感染対策に不十分だったり、
血液が通る器具内部や接続部が細菌で汚染されていたら、
細菌で汚染された血液が体内に入ります。
体中の血液中に細菌が入った状態を菌血症と言って、
治療にも反応しなければ、敗血症と言って、
感染症では物凄く重篤な状態で、
まず死にます。


次に、血液の中の赤い成分、赤血球について。

赤血球は核をもたない。血液中での寿命は約120日である。
赤血球の成分のほとんどはヘモグロビン(Hb)と水からなる。
Hbはヘム(鉄を含んだ血色素)とグロビン(タンパク質)からなる。
Hbは酸素濃度の高い肺で酸素を結合し、これを全身の組織に届ける。
酸素濃度の低い組織で酸素を放出する。
Hbは酸素(O2)と結合する性質をもっている。
1gのHbは約1.34mLのO2と結合できる。
HbはO2と結合すると鮮赤色になり、O2と結合していない場合、暗赤色になる
O2と結合したヘモグロビンをオキシヘモグロビン oxy-Hb、
O2と結合していないヘモグロビンをデオキシヘモグロビン deoxy-Hb または、
還元ヘモグロビンという(deoxy-Hb + O2⇄ oxy-Hb)。
ヘモグロビンがO2と結合して oxy-Hb になる割合は、
酸素(O2)分圧(酸素濃度)が高いほど多く、希薄なほど少ない。
肺胞内はO2分圧が高いので、血液が肺を流れると赤血球内のHbがO2を取り込み、
動脈血となる。動脈血は95%が oxy-Hb である。
各組織のO2分圧は低いので、O2を放ち静脈血となる(組織にO2を供給した後の血液)。
静脈血の25%は deoxy-Hb なので、oxy-Hb は75%となる。
肺を通過した動脈血が鮮赤色で、静脈血が暗赤色なのはこの理由による


オゾンとは、

酸素がO2、オゾンがO3。
オゾンは、すぐに酸素になります。
酸素濃度が高いところであれば、
静脈血は動脈血の色になります。


静脈血とオゾンを反応させても、
静脈血と酸素を反応させても、
静脈血は動脈血の色になります。


いや、溶血の話がもっと下に書いてありますが、
オゾンで赤血球が壊れて溶血していれば、
もっと赤く見えるかも知れません。


そして、
動脈血の色となった血液を体に戻して、
体を一周すれば、元の静脈血に戻ります。


そして、
その赤血球の寿命は長くて120日です。


そもそも、オゾンは、脱色、脱臭、殺菌に使うには良いと思いますが、
細胞障害性があるので、
眼、鼻、気管などの粘膜に障害を起こします。


>オゾン濃度(ppm)
人体に及ぼす影響


0.01~0.02
多少の臭気を感じる場合がある


0.02~0.05
オゾン特有の匂いがわかる


0.06
慢性の肺疾患の患者にも悪影響はない


0.1~0.3
鼻・のどに刺激を感じる


0.5
オゾン環境に労働する者に慢性気管支炎等が増える


0.6~0.8
胸痛・咳・呼吸困難・肺機能の低下等を生じる


1.0~2.0
疲労感・頭痛等を1~2時間で生じる


5.0~10
脈拍増加・体痛・麻酔状態・肺水腫をおこす


15~20
小動物は2時間以内に死亡する


50
人は1時間で生命が危険な状態となる




オゾンを吸ったら健康に良いとかじゃなくて、
最悪死にます。


そもそも、普通の酸素でも体の中で、活性酸素となって悪いものを退治する一方、
体の細胞も障害を起こすので、老化、癌の原因にもなるのです。


だから、高濃度の酸素を不必要に吸っていたら、老化は早まるのです。
標高が高い山で酸素吸入するとか、
COPDで通常空気では血液酸素濃度が低すぎるから酸素吸入するなら分かりますが、
何ともない人が、平地で健康のためとかいって、
酸素カプセルとかで不必要に高濃度の酸素を吸っても良いことが無いばかりか、
悪いことしかありません。


オゾンは、普通の酸素よりも強力な酸化作用を持っているので、
上手く使わないと、体に有害なのです。


自動車用品で、車内でのオゾン発生装置が売られているのを見たことがあります。
本当にオゾンが発生して車内を満たす場合、
眼や喉が痛くなったり、咳など呼吸器症状、頭痛などを起こす可能性があるので、
人間が車内にいる時に使うのは止めた方が良いです。
誰も車内にいない時に、脱臭を目的に使用して、
しばらく換気して車内に入るのなら、害は少ないでしょう。
自動車車内クリーニング業者が使うのなら分かりますが、
一般市民が日常的にオゾンを吸い込む環境を作るのは有害です。

G6PD欠損症といって、体中の活性酸素を除去出来ない病気があり、
どんどん細胞を壊すので、赤血球が壊れ、溶血という状態を起こします。


オゾンを血液中に入れるということは、似たような状態を作るということです。


オゾン処理で、動脈血となった血液を入れているというより、
溶血した血液を体に入れているだけかも知れません。
壊れた細胞の中から、カリウムが出てくるので、
人によっては高カリウム血症になる可能性があります。
高カリウム血症は、不整脈を起こし、心室細動、心停止、死亡の原因となります。

ただ、血液クレンジングでは、
その血液量が100~200mlだから問題が出ない程度だということでしょう。
https://www.kenkoin.jp/prophylaxis/prophylaxis02.html
しかし、G6PD欠損症では、溶血を急激に起こして死ぬ可能性があるため、
血液クレンジングの前に必ずG6PD欠損症ではないか、検査をしているのでしょう。


ああ、恐ろしい。
このブログを見た人は、血液クレンジングなんて絶対に止めて下さいね。